グレートスモーキーマウンテンズ(前編)

 9月初旬の連休に、再びテネシーを訪れた。本当はこの時父親がこちらにやって来るはずになっていたのだが、ノースウェスト航空のストにより、土壇場でキャンセルになってしまったのである。そんなにぎりぎりに取り止めにされても、今さら何処かに行く航空券をとる訳にもいかず困ってしまう。仕方がないので、車で行けるところに行こうと思った訳である。
 テネシーのグレーとスモーキーには一度行こうと思っていたし、まあちょうどいい機会であるので行こうと決めた。テネシーには、前に書いたとおり、知り合いの吉見さんが住んでいるので、また会いに行ってみるかという事に。吉見さんの家まで車で約8時間。又同じ道を延々一人でドライブするのも退屈なので、同じ研究室のアメリカ人のデリックを誘ってみたら予定も無いと言うので一緒に行く事になった。
 これでドライブも退屈では無いだろうと思い、その通りになったのだが、約8時間のドライブの間、ずっと英語で喋るのかと思うと、結構疲れてしまうのではないかという不安も頭をもたげる。が、幸いなことに、何を話していたかは忘れたが、げっそり疲れることもなく、また退屈もせず片道のドライブを終えることが出来た。デリックはグラント同様良く喋るのだが、グラントに比べると早口でなく、分かりやすく喋ろうと気を使ってくれているのか、比較的聞きやすい。毎日顔を合わせているので慣れもあろう。ドライブの方の疲れもさほどではなかった。一度走った道だし、以前に書いた様にニューハンプシャーからの帰りに20時間のドライブという経験をした後であるから、その半分もない道のりは、気分的にそう苦にも感じなかった。
 前回走ったときよりも、風景を改めてゆっくり眺められたと思う。平らなオハイオから南に下るに連れて徐々に起伏が多くなっていき、ケンタッキー辺りでは丘が増えてくる。更にテネシーに近づくと山がちになり・・・と、まあドライブ自身もそこそこ楽しめた。
 吉見さんの家に到着し一休みしてから夕食に。前回行った時カフーンなる店でリブステーキを食したが、今回、テネシー川沿いにある分店のカフーンで同じくリブステーキを。会計の時に、私達の会話に日本語が混ざっていたのに気が付いたのか、それとも顔つきで判断したのか、ウェイターのお兄ちゃんがカード支払の用紙に日本語で「ありがとうございました」と書いてきた。驚きである。彼は日本語のクラスを取っていたということであった。デリックと一緒なので吉見さんは殆ど日本語を使わない。それに付き合って私も殆ど日本語を話さなかったと思う。レストラン以外でもほんの少ししか日本語での会話が無かったのが残念であった記憶が有る程だ。それでもそのウェイターが我々が日本人と判断したのは、考えてみれば単純に日本語訛りの英語のせいかも知れない。
 その晩、吉見さんのアパートに泊めて貰い、翌日は吉見さんのムスタングでドライブに連れて行って貰った。最初にグレートスモーキーの麓の、結婚式で有名な観光地、ガトリンバーグといったか何だったかという街を少し見物。そこでサンドイッチ等の昼食を買い、グレートスモーキーで食べることに。
 グレートスモーキーでの様子は、後編にまわす事にする。

(Janurary 15, 1999)

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