グレートスモーキーマウンテンズ(後編)

 グレートスモーキーマウンテンズの、天辺まで木々に覆われた山々はなかなかの壮観であった。そしてその名のとおりスモーキーであった。スモーキーと呼ばれる由縁は、木々の葉から蒸散によって霞がかかることによる。ところが、近代では、実はその霞の原因が、実は大気汚染によるものであるとの事が書かれたプレートがあった。なんか残念。
 山々が木で覆われていることからも分かるように、どうも標高はそんなでもなさそうだ。道もきれいな舗装道路で急な坂だったり極端にうねっていることもないので、山の中に来たなあという感慨は、実はいま一つなのであるが、なかなかきれいであった。一箇所山道を登ってみるが、入り口に書かれている推定の歩行時間からするとちょっと長いし、帰りが遅くなりそうでもあったので途中で引き返した。が、しばし山道を歩いてみると、ちょっと疲れたが山に来たなという実感が湧くのでよい。
 そして吉見さんの住んでいるオークリッジへの帰途に付くことになった。途中、オークリッジの隣のやや大きな街、ノックスビルで夕食を取ることに。中華料理屋であった。オークリッジはナショナルラボがあるし、測定装置関係の会社、EG&Gの工場があったりして、研究者の多い閑静な街である。治安も良いという。ところが、街としては規模が小さいので、買い物や食事など、結構その隣街の、いろんな店のあるノックスビルに出ることが多いという。流石高速道路が只でガソリン代も安いアメリカならではであろう。
 その夜も吉見さんのアパートに泊めて貰った。前回年末に吉見さんの所を訪ねた時には、ジャックダニエルのボトルが空くまで飲んで、翌日の帰りのドライブに響いたことを以前に書いたが、その経験もあってか今回は割りとおとなしく遅くならない時間に眠りについた。
 そして翌日帰路に。帰りは何時間で着くかなと思っていたが、随分とかかってしまった。それというのも・・・。まず出だしがよろしくない。出発して直ぐにガソリンを補給することにしたのだが、なぜかガソリンが出て来ない。そのうちガスステーションのおばちゃんが出て来て、ガソリンチューブに空気が入ってうまく出ないらしいとチューブを持ち上げてみたりといろいろ試みるがちょろちょろしか出ず、結局別の給油のチューブを使うことに。最初からそうした方が早かった。そこで結構時間を潰した。
 そしてその後は渋滞にいくつか巻き込まれた。9月に入っているが、未だ暑い。私の車にクーラーは無いので、のろのろになると日の照っている中は辛いものがある。時々ファーストフードに入って涼む。冷たいドリンクを飲んで一息つき、リフィルが只なので氷とコーラか何かをカップに満たして再出発するのだが、店の中で休んでいる間に車の中はゆだるような暑さになっている。いやはや。渋滞が無ければ直ぐ冷えそうなものだが、殆ど止まったような状態では何ともならずである。
 そんなこんなで、コロンバスに着いたのは何時くらいであったろうか。良く覚えていない。途中の渋滞では随分暑かった事は覚えている。考えてみれば、2泊3日の旅行で、往復だけでほぼ2日、実質の観光がまる1日しかないのであるから、どうも移動中の出来事が割りと記憶に残ってしまうのは仕方ないことなのかも知れない。ドライブは決して嫌いではないけれど、ちょっと新幹線が懐かしい。 (Janurary 15, 1999)
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