自動車購入
日本を発つ前に、こちらに来たらまず車は購入しなければならないのであろうなと思っていた。家探しをするのにも必要となるであろうし。多分、買い物や何かにだって必要だろうし、家と大学との往復にも欠かせないであろうと考えていた。ところが、こちらに住んでいる学生は、意外と、必ずしも車をを持っている訳ではない。大学のそばにも適当なアパートがあるようだし、まあまあ買い物も出来るようである。日本でのように夜遅く、バスも無くなる時間まで大学にいるということもなさそうなので、必要不可欠という程でもなさそうだ。
日本にいる間の先入観では、アメリカは街が広くて車社会で、とにかく車がないと生きていけないのではないかと思っていたが、どうもそうでもないらしい。カナダに留学された橋本先生はまず車を買ったと言っていた。ボストンに留学経験のある先生の一人は車を買ったとのことであったが、同じボストンに行かれた他の先生は大学にバスで通ったとのことである。また、現在NYのColumbia Universityにいる後輩は、車の必要性はあまり感じないという。マンハッタンに住んでいれば、日本の東京にいるようなものだから、そりゃあ必要も無いのかもしれない。まあ、地域によってかなり差もあるだろうけれど、Ohioというと田舎で、買いだしとかでもshopping centerに車で行かないとならないだろうなあと思ったし、せっかくのアメリカ暮し、ドライブの楽しみも捨て難いということで、やはり買うことにした。そのうち国際免許も切れるので、運転免許も取らなければならなくなるであろうし、購入や諸手続き、保険加入などなんだか億劫にも感じられたし、また、万が一の事故を考えると、車なしでも生活が事足りるなら、無くてもまあ良いかなとも思ってはみたのだが。しかし、現在車に乗っているがやはり買って正解であったことに間違いはないと思う。
車は、笠井さんに連れていってもらってdealerの所に。こちらでは日本車が結構な人気である。日本車は故障が少ないということがその原因の一つらしい。さすがアメリカ、乗る距離が多いので、結構、耐久性、信頼性の面で差が出て来るのであろう。また、多分気配りの利いた設計思想も好まれる原因となっているであろう。ともかく、そこら中で日本車を見かける。Honda、Matzuda、Nissan、Isuzu、Subaru、Toyota、まあ多いの何の。日本の貿易黒字がなかなか減らない訳だよねって感じである。こちらの自動車関連の方々にとっては煙たかろうとは思うが、一般消費者は性能が良いと言って喜んで買ってしまうのだから仕方がない。日本の自動車製造関係の人達は誇っても良いのじゃないかと思う。
そんな訳で、アメリカに来たからにはでかいアメ車にでも乗ろうかとも思ったが、日本車も良いなと思っていた。ところが上記の理由からか、日本車の中古車は意外と高い。中古車なら30万円程度で適当なのが手にはいるかなと思ったが、なかなかそうもいかない。中古車やにも$3,000代のが有ることは有るが、なんだか大丈夫なのだろうかという代物ばかり。こちらでは、塗装が禿げてたりどこかぶつけてへこんだりしていても大して気にしないらしく、日本人が見るとびっくりするようなのが平気で売られている。日本だったら10万円もしないよなあというのが結構な値段である。日本だとちょいとでも傷があれば値下がりしそうなものだがこちらではそれがない。日本では登録や車検にお金がかかるので、適当に安く売らないと売れないということで安いのだろうか。
たしか$3,800で、古いリンカーンが売られていたが、ふと、それにしてみようかという気も起きた。しかし、そうとうガタが来ていそうで、下手すると修理にお金がかかりそうなのでやめた。ランドクルーザーのようなので安いのがあれば良いなと思ったが、どうも期待したような値段のものはなかった。Trackerの様なので丈夫そうなのも良かったが、これも意外と高いのでやめた。
なにせこちらのdielerは結構な強気で売る。塗装の禿げた部分のタッチアップや整備に金がかかっているのだと威張る。いくらなら買うんだとなかなかの迫力でせまる。交渉で適当に値引けては来たけど、その迫力のあるdielerからは退散した。結局、笠井さんが車を購入したというdielerのところで購入した。先のdielerに比べれば穏やかなものである。アメリカで始めて迎えた土曜日にそのdielerに行き、翌日曜日、試乗して乗り心地を確かめてから購入を決定。Fordの94年、朱色のAspireで走行距離は42,000 miles程。税込み、手続きも含めて$4,300。税別で$4,500のところを、ここがへこんでいるとかけちを付けつつ負けてもらった。実際、一度正面を壁にでもぶつけたらしい後がある。フレームに歪みがあるということは無いのだが、正面のFordのマークがとれたりしている。日本ならもう少しは値引いてくれそうなものである。前のオーナーは一人だけだとやけに強調していたが、こちらでは中古の中古、あるいはそれ以上があたりまえということなのだろうか。知り合いが買う予定であるから紹介するので負けてくれとまでいい、その値段までには下がったが、それ以上負けるとモMy boss will kick my ass.モとも言っていたし、 市場でのbottom lineだということで本当に限界だったのかも知れないし、もっと無理して負けてもらってもせいぜい$100-200程度だろうという感じなので妥協した。まあまあの買い物ではあったと思う。マニュアルであったので、うまいこと売れ残っていたのかも知れない。とにかく多くのアメリカ人はオートマでないと駄目なようである。
ところで、このdielerのところで見つけたJeepがちょっと良いなと思い、あれはいくらするのだときいてみたら、あれはそのdielerのおじさんの自家用車であった。やれやれ。
日本での自家用車はスバルの軽であった。550 ccである。これに比べると大きくなったのであるが、このFord Aspire、アメリカ車にしては小さめであろう。燃費はなかなか悪くないようである。ハンドルはやや固めであるが走りはまあまあ。Ohioの夏は涼しかろうと思い、エアコン無しでも別に平気と思っていたが、実は結構暑い。どうせならエアコン付きにすれば良かった。また、ラジオもカセットテープも付いてはいるが、なぜかカセットは聞けない。ちょっと残念ではある。でもまあちゃんと走っているようだし、ナイアガラまで行けたし、だんだん愛着も湧いてきたしで結構気に入って乗っている。
(July 1, 1997)
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