英語の勉強?(後編)
アメリカのコミックというと、スーパーマンなど、もっぱら子供向けのヒーローものが多く、いまひとつ面白そうなのがなく、日本の様な単行本を殆ど見かけない。20ページ程の1話のぺらぺらのが$2.5とかの値段である。全編カラーのものが多いが、日本に比べるとえらく高く感じる。そんな訳で日本の漫画の英語版を買っている。「アドルフに告ぐ」や「風の谷のナウシカ」その他。一度ならず読んだことのあるものなら、割とこんな台詞が有ったということを覚えているものなので、英語になっていても読みやすかろうということで。レターペーパーの半分ぐらいで、200ページ程度のものが$15-20程度なので、これ又随分と高いのが難点であるが。
ところで、日本の漫画の吹きだしの台詞は大概縦書きで、文章は右から左に流れる。日本の漫画の英語版の場合、文章の流れが不自然にならないようにするために、鏡像コピーが使われている。ブラックジャックは左の頬に有るはずの傷が右頬にあり、メスを持つ手が左手になっていたりする。心臓の手術のシーンではどうしてくれるのであろうか。時計や看板などの場合ちゃんと直してあるので、画像処理のソフトウェアで、効果音の英語化と一緒に、まめに処理するのだろうか。
コミック屋さんで見かけた日本の漫画はいろいろだが、その種類はわりと最近増えてきている感じである。手塚治虫等古典的なものは多いかと思ったらそうでもなく、「アドルフに告ぐ」や、最近になって訳された「ブラックジャック」が2巻まで出ているくらいである。最も見かけるのは高橋留美子のもので、「うる星やつら」や「めぞん一刻」、今も連載中の「犬夜叉」その他いろいろである。
「めぞん一刻」なんかはアメリカ人に受けるのだろうかと疑問に思ったのだが、結構人気な様で、そのアニメも知っているアメリカ人が身近に多い。たまたまそんなアメリカ人が多いのかも知れないが、原作漫画は一通り読んだもののそのアニメは見ていない日本人の私には驚きである。グラントはイリノイの大学時代に見たといい、ジェイソンは交換留学か何かで来ていた日本人に見せて貰ったビデオで、アメリカの子供向けのアニメと違う事を知り日本のアニメを見る様になったというから、「めぞん一刻」侮れず。
その他、白土三平の「カムイ伝」なんて渋い所の翻訳本もあるが、忍者ブームと関係が有るのだろうか。「はだしのゲン」も翻訳されているというのはちょっと意外であった。「セーラームーン」や「ポケモン」あたりが出版されているのはさもありなんと思えるが。スターウォーズの日本で漫画化したものが英訳されているのを見た時には、なんだか本末転倒だなと感じた。日本の漫画の人気にあやかろうというのか、アメリカ漫画なのにタイトルを片仮名で「エンデェルファイア」と書いてあるのを見かけたが、日本人が書いたなら「エンジェルファイア」になるはずでなんとも怪しげである。そんなこんなで、コミック屋さんを覗いて見るのも結構興味深いものである。
タイトルから脱線したところで話が長くなってしまったが、ともかく、英語版の日本の漫画も英語の勉強の役に立ててみようかと思い買っているというそんな話であった。英語字幕付きの日本のアニメを見るにしろ、アメリカのテレビ番組を見るにしろ、その効果は怪しげではあるが、無いよりましである事に期待したい。見た事をネタに、デリックなんかと会話するのは、まあ役には立っているのではないかと思いはする。
(April 12, 1999)
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