ゴルフ
こちらではゴルフが安く出来るということは日本を発つ前から聞いていた。Ohio State Univ.に留学された先生方も、やはりこちらでゴルフを経験されているようだ。OSUゴルフコースは、ジャック・ニクラウスが設計したとも聞いている。日本では勿論、コースに出てゴルフするなどの機会には、先ず恵まれることはないであろう。えらくお金はかかりそうだし、ちょいと経済的に余裕の持てるおじ様方の余暇の為にあるようなゲームという印象がある。ところが、こちらでは一般庶民でも楽しめるというので、まあ、帰国前には一回ぐらいはコースに出て見たいものだなとは思っていた。
先ず、こちらに来てから最初に行ったのは、打ちっぱなしの練習場。こちらに到着してから、一月を少し超えた頃であった。日本人の笠井さん、スイス人のパトリックと一緒であった。打ちっぱなしならば、マスターコースの学生の頃仙台の青葉山にある練習場に何回か行ったことがある。当時、バッティングセンターにも行っていたが、なんで140kmの球を打つことが出来て、ちょこんと鎮座ましましているゴルフの球がうまいこと飛ばないかと思ったものである。まあ、コースに出るための練習と行ったものではなく、バッティングセンターと同様、ちょいと軽い運動のため、と行った感じであった。
こちらで最初にゴルフの練習場行った時には、なかなかその練習場が見つからなかった。それもその筈、日本では緑色のネット、言わば巨大な蚊帳の様なものを目指して行けばたどり着くが、こちらではそんなネットが見当たらない。ヤードの表示の看板が有るだけの広い、草の刈込まれた野っ原にひたすら球を打ち込むと行った感じである。さすが国土が広いだけはある。でかい篭一杯のボールで$10弱。最初は大して安くもないかなと思ったが、どうしてどうして、そのうち豆は出来るし疲れるしで、恨めしくなるほどの数であった。
握りを絞って腕は三角形を保つようにして・・・と試してみたが、ちょぼしたりスライスしたり、なかなかうまく飛んでくれない。豆は出来るは手は痛くなるは、日暮れが近づき蚊が出るはで、いやもう・・・。フォームがとても基本どおりとは思えないものの、結構気持ちよくかっ飛ばしているパトリックが羨ましくなった。これがゴルフ初挑戦というパトリックは、次回はビデオを持っていき映してフォームを研究するだとか、クラブを買うだとか、初回からはまってしまったようであった。因に、スイスでもゴルフは金持ちの道楽といった感じであるとか。
二度目の練習場は、最初とは別な場所であった。同じメンバーで。その時にはクラブが違うのか、はたまたボールの位置を左足寄りにしたのが良かったのか、前回とはうって変わって、結構気持ち良く飛ぶようになった。パトリックのほうは左利きで、借りたクラブが短くて調子が出ないのか、いま一つ冴えなかった。どうもこれを機会に、本気でゴルフクラブのハーフセットを買う事を決意したようである。
そしてなんと遂にコースに出る日がやってきた。こちらに来てから二月を超えた、7月27日、日曜日のことである。この時の面子は、例の笠井さんとドイツ人のハンス。ドイツでもゴルフは金持ちの道楽らしく、Ohioに来たからには一丁ゴルフも経験してやるぜ、という気持ちはあったようだ。イギリスでゴルフをしたことがあると言っていたが、自分同様彼もビギナーのようである。先ずは練習場(二回目に行った所と同じ)で打ちっぱなしの練習。昼過ぎから出かけて行ったのだが、いやもう暑いのなんので汗びっしょりになった。
練習用の、飛距離の出ないボールでも200yards位は飛ぶこともあるようにはなったが、方向の再現性は低い。ひとしきり打って練習を終えた。もう暑さでへろへろ。豆も四つ五つ作って、やれやれというところであった。その日はそれだけで終わっても、もう十分という気もした。
その後、Fridayなる店でMocha Mud Pieと名の付いたアイスクリームを食べて一休み。なんだかこのネーミングにはセンスがあるのかないのか・・・。Mud(泥)には見えるが・・・。えらく喉が乾いていたのとこのアイスが甘いのとで、アイスティーや水をがばがば飲んだ。アイスティーはrefill含めて3杯位飲んだろうか?それでもその後、殆どトイレに行かなかった所を見ると、かなり脱水になってたのかも知れない。
休憩を取った後、大体4時位からだろうか、上記練習場の横にあるコースに出て、ハーフを回り始める。カートやクラブを借りても$20弱で回れるのだから安いものである。もう日本じゃびっくりな位安い。最も、日本での相場は知らないが、ともかくずっと安いことは確かであろう。
ところでこのカート、実に重宝。時に明後日の方向に飛んでいくボールを探しに行くのに、実に楽である。こいつがなけりゃあ、ゴルフをしてるのかアスレチックをしているのか分からなくなってしまう。もっとも、とんでもない方向に打ってばかりいるという訳ではなく、どうしてどうして、意外となかなかの場所に飛ばしたりもしているのである。とはいえ、二番ホールからは、何打打ったのかも気にしなくなった。
そのうち、雲行きは怪しくなりだし、今にも雨が降り出しそうになってきた。遠くで雷も鳴り出す。こちらの雨は、よく、急にザーッと降り出すので、気が気ではなくなってくる。クラブに雷が落ちたらたまったものではないし。暫くして小雨は降り出すし、雷も近くなり、ますます不安になる。後ろから来ていたおじさんには先にいってもらった。その他コースにいた人達も、雨のため切り上げて帰ってしまったようである。回りに人がいなくなると、ゆっくり落ち着いてプレイできそうなものだが、この天気ではそうもいかない。そろそろやめないかい?と提案するもハンスは一向に止めようとはしない。雷?おれぁ好きだねってな具合である。流石、鉄の民族。鉄なら真っ先に雷がヒットしそうなものであるが。
結局、強行でハーフを回り切った。ゴルフ場のおじさんも心配していたようであった。まあ、結果的には、ハーフを回り切ることが出来、満足であった。終わったのは8時過ぎくらいであったろうか。日が長いので有難い。
さて、今日、8月3日、日曜日もゴルフ。昼過ぎから前回と同じ場所で打ちっぱなしの練習。面子も同様に、笠井さん、ハンスと私の3人。前回ほどは暑くなかったが、やはり汗をかいた。その後、Cookersなる店で、今回もアイスクリームを食べて休憩。いやそれにしてもアイスはでかい。デザートの欄に載っているものの、食事の後にこんなものを食べ切るのは可能かどうか疑わしいほど。運動の後なので、カロリーを摂取するのにはちょうど良いかもしれない。アイスティーと併せても$5ちょっとというのも有難い。今回もアイスティーをがばがば飲んだ。
そしてその後、今度は違ったゴルフ場に。アイスを食べている間に降り出した雨もおさまっている。値段はカートを借りても、確か$18。クラブを借りるのに$5。まあ、大した値段ではないのが何とも有難い。今回は、天気も良く、雷も聞こえないので、前回のように落ち着かないということはなかった。9番ホールではちらっと雨も降り出したようだったが、大したことはなかった。
今回は、なんと初のparを出した!コースに出て2度目のビギナーであるから、これはなかなか嬉しい。確か6番のショートホールであった。第一打ではグリーンにオンしなかったものの、二打目でオン。結構長いパットで、グリーンに傾斜もあったが、ボールはきれいな弧を描き、見事ホールに吸い込まれた。こりゃあなんとも気持ちがいい。やったぜbabyってなもんである。これが繰り返せるようになれば大したものなのだが・・・・。
ところで、小学生と思われる3人組もコースを回っていた。日本では信じられないような光景であろう。確かに、費用も大したことはないのだから、まあ小学生がゴルフしたって悪いことはない。小さいうちから始めていれば、将来のタイガー・ウッズにもなれるかも知れない。カートを借りる費用を節約してか、バッグを担いで歩いて回っているあたりは小学生らしく可愛らしい。もしかすると、こちらのようにボールがあっちこっち散れないので、ボール探しにカートを乗り回す必要が無いので使っていないのかも知れない。もしそうだとしたら小憎らしい限りではある。
まあ、ともかく、小学生でもコースに出られるという優雅さは、土地に余裕のあるこちらならではであろう。ゴルフ場の会員権を得るのに大枚をはたかねばならず、時にその会員権が賄賂などに用いられる日本から来た者にとっては、全くびっくりである。帰国後は、コースに出てゴルフを楽しむ等という機会はあるまいから、もう2、3度位は行っておきたいと思う。
(Aug 3, 1997)
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