ラフティング

 8月の第2の週末に、ウエストバージニアにラフティングに行ってきた。Department of Chemistryの連中に混ぜて貰ったのである。一緒に遊ぶ機会の多いハンスとラケットボール、水泳をした後にOhio State University近くのbarにビールを飲みに行ったところ、ハンスの所属するDepartment of Chemistryの連中がたまたま飲んでおり、そこで、今度ウエストバージニアにラフティングに行くのだが一緒に行かないかと誘ってくれたのである。一緒にいた笠井さんとメンバーに加えて貰うことにした。
 総勢12人で行くこととなった。アメリカ、イギリス、カナダ、ドイツ、スペイン、プエルトリコ、台湾、そして日本と、参加者の国籍は多種多様。車に分乗して出かける。ハンスの買ったばかりの中古車に笠井さんと私と乗せて貰い、午後2時過ぎに出発。後部にはリュックやら寝袋やらを詰め込んだ。土曜日のこの日は小屋で一泊ということだったので、寝袋を買っておいたのだが、値段は$17程度とえらく安かった。その他、車には氷や飲み物等の入ったプラスチックの樽も積まれている。もしやと思って聞いて見たら、やはりカラムクロマトグラフィーに使うシリカゲルの容器であった。いかにもChemistryの研究室らしい。
 宿泊地までは5時間位かかったであろうか。着いた頃にはもう皆揃っていた。ハンバーグやソーセージを焼いてパンに挟んで食べた。火なども焚いてその回りでビールなど飲んでいると、ちょっとしたキャンプファイヤーの風情である。
 キャンプの時にはこちらではよくマシュマロを焼いて食べるそうで、金串に刺したマシュマロを火にかざしている。焼けたのをチョコと一緒にビスケットに挟んで、食べるとうまいんだとのことで、作って貰ったのを食べて見たところ確かに悪くない。マシュマロが熱でふっくら柔らかくなってクリームのような感じ。ひとしきり飲んでだべった後、小屋で一泊。
 翌朝起きてラフティングのベースへ。大体9時位の出発で、出発前には諸注意を聞いた。ライフジャケットとヘルメットをまとい、手にはオールを持ってバスに乗り込み、上流へと向かった。道中、ガイドのお姉ちゃんがえらく大きな声で説明を。一番前に座っていたものだからいやもう耳に響くの何の。河の水面からの高さが最大という橋を渡って、出発地点へと到着。12人のメンバーは6人ずつに分かれ、各々のボートに乗った。ボートは8人乗りで、見知らぬ2人を加えて8人に。各々のボートにはガイドが1人付く。
 ラフティングは初めての経験であるから、さてどんなものだろうと思った。湖で丸ボートや、河でボートレース(ナックルフォア)等の経験はあるものの、これらではボートから振り落とされる心配なんてまずないし・・・。
 最初に急流に突っ込んだとき、いきなりプエルトリコ人のホセが河に落ちた。ライフジャケットは着ているし、まあ溺れる心配は無いのだけれど、何とも不安を誘う出だしである。この先大丈夫なのかねえ?と。水飛沫はけっこう浴びるし。
 実際の所、急流(泡だって白く見えるせいか、white waterと呼ばれている)の割合はそれほど多くなく、緩やかな所が多かった。緩い流れの所では、ガイドのお兄ちゃんが、次のwhite waterでは岩がこんな風になっていて流れがどうなっているといった説明を加える。また、崖の上のほうのあの岩はちょうど羊の角の様に見えるのでなんとか岩と呼ばれるとか、あの岩の格好は亀に似ているのでturtle rockと呼ばれているとか、なんだか厳美渓の船頭さんの様な説明もしている。岩の格好を何かに例えて名前を付けるのは、どうも万国共通のようだ。
 緩い流れの所では、ボート同士で水のかけ合いも始まる。なかには結構アグレッシブなクルーもいて、わざわざ近づいてきては攻撃を仕掛けるという、なんとも海賊のような感じである。もうびしょびしょ。
 また、緩い流れが続くところでは、安全なので泳いでよいということで、皆、河に入って泳いだ。ライフジャケットを着ているので溺れる心配はないが、もう服のまんま、靴も履いたままである。先日買った時計は防水がしっかりしているので助かった。天気もよいし、結構河で泳ぐのも気持ちがよい。流れに漂う木の葉のようにしているのもまた気持ちがよい。一回河に入ってしまえばもうこの先水飛沫なんて気にもならない。大体、3箇所くらいで泳いだであろうか。幸い、ボートから振り落とされることはなかったものの、もうずぶ濡れもいいところであった。
 最初は、急流も結構なスリルが有るのだが、だんだん慣れてくると、ちょうどスキーでこぶのある斜面を滑るように、適当にバランスをとれば良いことに気付く。皆も慣れてしまったのであろう、ボートから投げ出されることは無くなった。とはいえ、急流に突っ込んで、ボートが大きく傾いて、横に乗っていたカナダのブライアンがこちらに滑り落ちてきたときには投げ出されるかと思った。なにせラグビーをやっていたとかいうごつい体格の持ち主なのでタックルよろしく衝撃も大きい。
 暫く河下りや水泳やらを楽しむと、それなりにお腹も減ってくる。昼食はだいたい2時くらいであったろうか。この昼食はツアーに含まれている。因にラフティングの料金は$84か85と記憶している。
 さて、河下りも後半、岸の大きな岩からは飛び込みが出来ると言うので、皆で河にダイビング。高さは6m位であろう。皆景気良く飛び込んでいく。ダイビングは初めてで、これは意外と怖かった。一回飛び込んだ後もう一回。記念撮影のため、5、6人で一緒に飛び込んだ。どのように写っているであろうか。
 ラフティングを終えたのは大体4時位。9時位の出発であったから、ずいぶん長いこと楽しんだ訳である。流れの激しさというか、難易度はクラス分けされているようで、今回体験したのは4とか5とかの、ほどほどのもの。クラス1とか2とかの流れというのはどんなものであろう。とんでもなく急な流れは遠慮したいところであるが、程ほどの流れがもうちょっと多かったら良かったかな、とは思ったが、ずいぶん長いこと河の上にいたし、泳いだし、おまけにダイビングまでしたしで、十分遊んだという感じであった。
 ラフティングの最中、カメラマンが所どころでビデオや写真を撮影。ラフティングが終わってベースに戻ると写真の現像も済んでおり、販売されていた。ビデオの上映もされており、それを見ながら一休み。写真は1枚記念に購入した。
 帰りは又ハンスの車で。運転はずーっとハンスに任せたままであった。結構日焼けしていた。夕食を食べてシャワーを浴びて、そしてやはり結構疲れもあったせいか、ぱたんきゅーで寝てしまった。購入した写真は、現在額に入れて家に飾ってある。
(Aug 17, 1997)

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