雨と停電
こちらは、日本に比べると、どうも雨が少ないような気がする。時期的なこともあるかも知れないけれど。とりわけ、現在日本は梅雨時なのでそう感じるのかもしれない。日本の梅雨時ほどには湿気がないとはいえ、からっとしているかというとそうでもない。夏は結構humidだとこちらの人もいう。まあ、日本ほどではないにせよ。しかし、特に今年は例年よりも湿気が高く、蚊やダニの発生量が多いということをテレビのニュースで言っていた。ダニといっても2mm位はあろうかという大きな奴で、Lyme病など媒介するので侮れない。蚊は仙台よりもよっぽど多い気がする。日が暮れてくると活動を始める。一度隣の若夫婦と軒下でだべっていたときに、10箇所以上刺されたことがある。なんとも嫌な存在だ。
ところで、こちらOhioの雨は、日本のようなシトシトといった感じでなく、急に暗くなったかと思ったら、雷を伴ってザーッと降り出すことが多いようだ。大概、30分も待つとあがってしまう。7月2日にも俄にかき曇ったと思ったら、急に雨が降り出した。外ではサイレンが鳴り出す。洪水警報でも出たのかな?と思ったら、直後秘書のおばさんに聞いたらトルネードの警報だということであった。トルネードなんてもっと南部の方ばかりで起きるものかと思っていたのに。夜テレビを見たら、Ohio州内でも幾つか発生していたようである。
このような土砂降りの後には、よく信号が止まってしまうことがある。こちらの信号機は、ワイヤーで釣ったちゃっちい感じのもので、黄色い箱に3色が縦に並んでいるのが普通である。交差点ではお巡りさんが交通整理をしているところもあるが、そうでないところもあってなんとも危なっかしい。先日も、New Japanという日本の本やビデオのある店にいく途中、2、3箇所の信号が止まっていた。そろそろと周りの様子を窺いながら交差点を抜ける。アメリカ人の個人主義よりマナーを守る心を願いつつ。
その店に着いてみると停電の影響で電気が消えている。そこで本を買ったのだが、カードを読む機械も当然動かないということで、仕方なく現金で払った。こちらではあまり現金を持ち歩かないほうが良いということなので、大抵、大した額を持っていない。財布には$15位しか無いこともある。銀行にいくのが億劫なので、なるべく現金は使いたくないのになあと思ったが仕方が無い。
さて、昨日の夕方も急に土砂降り。結構近いところに雷が落ちた。窓を洗うように雨水が流れていった。例によって、その雨も30分くらいで上がった。Patrickとテニスラケットを買いにいき、ついでに牛肉、牛乳等も買った。彼をアパートまで送り、家に着いたのは9時位。隣の家は暗く、外に出ているのかな?と思いつつ家に入り、さて電気をつけようとスイッチを入れるが電気が付かない。なんと停電であったのだ。そう言えば、家のある通りの入り口の目印にしているPepciの看板も切れていたっけなあと思う。
まだ9時くらいなら明るいので、部屋の中もまあまあ見える。何時頃復旧するのかなと不安。だいたい欧米では電線は地下に埋めるのが進んでいるかと思ったらそうでもないようだ。それまで殆ど気にしていなかったが、外を見てみたらちゃんと電柱の間を電線が走っているではないか。やれやれ、日本では台風が来たって、今日日、大概の所では停電になんかならないのになあと思う。
ちょっと前に、香のよい太くて短い蝋燭を、洗面所にでも置こうかとふと衝動買いしていたのだが、早速お役に立つことになってしまった。停電の夜を過ごすなんて、小さい頃にはあったかも知れないが、少し大きくなってからは記憶がない。全くやれやれ問う感じである。
カレーを作ろうと買った牛肉も、冷蔵庫が働かないので痛むかなと思い、暗闇の中、蝋燭を頼りに作ってしまうことにした。まだ日が若干残っているとはいえ、どんどん暗くなっていく、街頭だけが無事なのは恨めしいが明りの足しにはなってくれる。玉葱、小指ほどの太さの小さい人参、マッシュルーム、それから問題の牛肉でカレーを作り始める。ガスを付けようかと思ったら点火しない。着火にも電気を使っているらしい。なんともはや・・・・。ライターで点火。そういやあ炊飯器だって動かないじゃないか。パンも無いしとおもったが、まあそのうち復旧するかも知れないしと、料理を継続。蝋燭すらなかったら闇鍋になるところだった。
なかなか復旧しないようで、諦めて暗闇のなかカレーを食べた。闇の中で作った割にはなかなか上出来。ご飯が無いのがなんとも哀れではある。食事中、電気会社の車らしい、黄色の回転灯を付けた車が外に来ているのが見えたが、復旧はせず。その車もしばらくしていなくなった。ちゃんとしてくれよー、という気分。まったくもう、ぶつぶつ・・・。他の住人がブーブーいっていないのを見ると、雨が降った頃から知っていたのか、また、こちらでは停電が良くあることなのか。そういやあ、数秒の停電は以前にあったし、同居していた奥野先生もたまに停電があると言っていたっけと思う。
ライス抜きのカレーと牛乳で夕食を済ませ、二階に上がってうだうだ。寝るしかないかなと諦める。2時頃一度起き、シャワーを浴びようと思ってごそごそと活動しだす。ガスコンロも停電で点火しなかったのだから、お湯も駄目かなと思ったら、なぜかお湯は出たのでシャワーを浴び、その後寝る。結局その日は復旧せずであったが、翌朝起きたときには直っていた。
なんとも、やれやれな夜であった。今後もこういうことがあるのなら、蝋燭や懐中電灯を買っておかなくっちゃ。Patrickと買い物をしたときに、ふと、懐中電灯を買おうかなー、どうしようかなーと思ったのは、なんかの予感があったからなのだろうか。結局買わなかったのが惜しまれる。
(July 19, 1997)
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